アライバルノーティス(Arrival Notice)とは?役割や記載事項を解説
海外取引をして輸出入を行う際、支払いや通関のための書類が非常に多くありますよね。
そして、その中に荷物の到着を知らせる「アライバルノーティス(Arrival Notice)」という書類があります。
アライバルノーティスは荷物の到着を教えてくれるだけでなく、支払いに関する情報も記載されているので重要度が高い書類です。
そこで今回は「アライバルノーティス(Arrival Notice)」をテーマに
- アライバルノーティス(Arrival Notice)とは
- アライバルノーティスの役割
- アライバルノーティス発行から引き取りまでの流れ
- アライバルノーティスの記載事項
などについて解説していきます。
アライバルノーティス(Arrival Notice)がどんな書類なのかを知りたいという人は、ぜひチェックしてみてください。
目次
アライバルノーティス(Arrival Notice)とは
アライバルノーティス(Arrival Notice)とは、船会社によって発行される文書であり、貨物が指定された目的地に到着する時期を関係者に通知する「貨物の到着案内」のことです。
「A/N」という略し方をされることもあります。
アライバルノーティスは必須書類というわけではありません。またその内容や記載方法には特に定めがありません。
しかし、貨物受け取りに向けて準備し、配送プロセス全体をスムーズにするために、海上輸送を通じて商品を発送する際には発行されるのが一般的です。
アライバルノーティスの役割
それではアライバルノーティスの具体的な役割とは何でしょうか。
主な役割としては、
- 入港情報の確認
- 支払い明細書
- フリータイム中の引き取り準備
の3つの役割があります。
それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
【役割①】入港情報の確認
アライバルノーティスの1つ目の役割は「入港情報の確認」です。
アライバルノーティスは先ほど説明した通り「貨物の到着案内」のことです。
つまり、アライバルノーティスが届いたということは、急なトラブルがなければあと数日で貨物が港に届くということ。
アライバルノーティスには、入港予定日だけでなく、荷姿や荷下ろし後の搬入先、重量などが記載されているため、こちらの情報を確認して輸送スケジュールを決めて手配をします。
入港情報を速やかに伝えることで、その後の配送をスムーズに進めることができます。
納期の遅れや追加の支払いをしないようにするためにも、入港情報の確認はきちんと行うようにしましょう。
【役割②】支払い明細書
アライバルノーティスには船会社からの請求内容も記載されており「支払い明細書」としての役割もあります。
具体的な費用の項目として、
- Ocean Freight(O/F):海上輸送費
- Terminal Handling Charge(THC):コンテナ取扱料(FCL)
- Container Freight Station Charge(CFS Charge):コンテナ取扱料(LCL)
- Delivery Order Fee(D/O fee):デリバリーオーダー発行手数料
- Documentation Fee(Doc Fee):船積書類発行手数料
- Bunker Adjustment Factor(BAF):燃料割増費用
- Currency Adjustment Factor(CAF):為替レート変動調整による割増費用
などが記載されています。
アライバルノーティスの明細を確認したのち、船会社への支払いを行います。
【役割③】フリータイム中の引き取り準備
3つ目の役割は「フリータイム中の引き取り準備」です。
コンテナ輸送には「フリータイム」と呼ばれる、コンテナヤード搬入後に貨物を無料で保管してもらえる期間が存在します。
貨物の到着後、NACCSという税関システムに登録されると搬入完了となり、フリータイムの期間中に通関や引き取りを行わなければなりません。
フリータイムを過ぎてしまうと、デマレージと呼ばれる追加保管料を請求されてしまうので注意が必要です。
一般的にフリータイムは1週間程度ですが、船会社によって異なるので、確認を忘れないようにしてください。
アライバルノーティスと船荷証券(B/L)は同じではない
アライバルノーティスの役割をみて、船荷証券(B/L)と混同してしまう人もいるかもしれません。
しかし、アライバルノーティスと船荷証券(B/L)は同じではありません。
アライバルノーティスは貿易において必須書類ではありませんが、船荷証券は船会社、海上輸送業者、または第三者の物流プロバイダーが国際貿易のために作成できる法的な文書です。
船会社が通常、船荷証券を荷送人に発行し、その中には貨物の種類、出荷物の数量、荷揚港、および貨物の先方国の詳細が含まれています。
船荷証券は輸入者と輸出者の両者を責任から守るために発行されています。
アライバルノーティス発行から引き取りまでの流れ
それではアライバルノーティス発行から引き取りまでの流れをチェックしていきましょう。
アライバルノーティスの発行から貨物の引き取りまでの一般的な流れは次のとおりです。
①アライバルノーティスの受領
貨物の到着予定日やその他の詳細を含むアライバルノーティスを受け取ります。
通常、これは船会社から通知されます。
アライバルノーティスを受領したら、スケジュールを確認し、搬入と輸送の手配を進めましょう。
②船会社への支払い
アライバルノーティスには請求内容が記載されています。
支払い明細を確認し、船会社への支払いを行いましょう。
通常、支払い方法についてもアライバルノーティスに記載されているので、その通りに支払いを進めていきます。
③D/Oの受け取り
支払いを確認した船会社はD/O(デリバリーオーダー)の発行手続きを開始します。
D/Oとは、船会社が発行する荷渡指図書のことで、貨物の引き取り時に使う引換券のような書類です。
英語では「Delivery order」といいます。
貿易取引で国内に輸入された貨物は船から降ろされた後、CY(コンテナヤード)やCFS(コンテナフレートステーション)へと運ばれます。
D/OはCYやCFSに対して「この貨物が出庫できる状態にある」ということを示す書類のため、CY・CFSのスタッフはD/Oを確認した後、出庫の手配を進めることとなります。
とはいえ、最近では「D/Oレス」と呼ばれるD/Oを不要とし、NACCSと呼ばれる「輸出入・港湾関連情報処理システム」を使った方法が主流になりつつあります。
D/Oについて詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
④輸入通関
貨物の引き取りには、輸入許可証も必要です。
CY(コンテナヤード)やCFS(コンテナフレートステーション)に貨物が到着したのち、速やかに税関へ輸入申告を行ってください。
通関が完了すると輸入許可証が正式に発行されます。
⑤貨物の引き取り
輸入許可証が手に入ったら、貨物の引き取りに向かいます。
多くの場合、配送業者に手配をしていると思うので、配送業者が貨物を引き取り、指定納品先まで輸送します。
アライバルノーティスの記載事項例
アライバルノーティスの具体的な記載事項例をみていきます。
記載事項 | 意味 |
Shipper | 輸出者 |
Consignee | 輸入者 |
Notify Party Details | アライバルノーティス受取人 |
BL, SWB, or AWB Number | B/L, SWB, AWB の番号 |
Vessel/Flight Information | 便名 |
Cargo Information | 貨物の詳細 |
Container or ULD Number | コンテナ番号、ULD番号 |
Estimated Time of Arrival (ETA) | 到着予定日 |
Actual Time of Arrival (ATA) | 実際の到着日時 |
Port of Loading / Origin Airport | 荷積み地 |
Port of Discharge / Destination Airport | 荷降ろし |
Place of Receipt | 輸送業者の貨物受け取り場所 |
Place of Delivery | 配送場所 |
Cargo Pickup Location | 通関後貨物受け取り場所 |
Freight Terms | 輸送条件 |
Freight Charges | 輸送料金 |
アライバルノーティスには様々な情報が含まれている
アライバルノーティスには様々な情報が含まれており、輸入の際には重要な役割を果たしています。
またスムーズな納品の為に、受け取り後の内容確認、支払いや配送の手配などやることがたくさんありますが、一つ一つ丁寧に行っていきましょう。
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