迂回貿易をする理由とは?迂回貿易が与える影響について解説

国際貿易には様々なやり方がありますが、その1つに「迂回貿易」というものがあります。

迂回貿易はニュース等で話題になることもあるので、もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれません。

そこで今回は、そんな貿易方法の1つである「迂回貿易」をテーマに

  • 迂回貿易とは何か
  • 迂回貿易をする理由
  • 迂回貿易が与える影響

について解説していきます。

迂回貿易について詳しく知りたい人は、ぜひ一緒にチェックしていきましょう。

迂回貿易とは何か

迂回貿易

迂回貿易とは、通常の貿易経路を避け、より効率的で経済的に有利な経路で貿易をする手法です。

一般的に二国間同士で行われる貿易では、輸出する国と輸入する国の二カ国の関係のみで取引が成り立ちますが、迂回貿易は第三国を迂回して取引を行います。

迂回貿易での輸出を「迂回輸出」迂回貿易での輸入を「迂回輸入」とそれぞれ呼ばれています。

迂回貿易が行われる3つの理由

迂回貿易を行うと第三国を経由することになるため「取引がよりややこしくなってしまうのではないか」などと考えてしまいますよね。

一般的な貿易のように二国間で貿易を行えばいいにも関わらず、なぜ迂回貿易という手法で貿易が行われるのでしょうか。

迂回貿易が行われる主な理由としては

  • 関税回避
  • 規制緩和
  • コストの削減

の3つが挙げられます。

ここからそれぞれの理由について詳しくみていきます。

【迂回貿易の理由①】関税回避

貿易では取引の際に各国が設定をする関税が課されますよね。

そこで関税を回避するため、迂回貿易をするケースがあります。

例えば、EPAという経済連携協定を締結している国との貿易では、製品によって関税がゼロになったり、減税される仕組みがあります。

より大きな利益を得るため、このEPA制度を利用することを目的に迂回貿易が行われることも少なくありません。

【迂回貿易の理由②】規制緩和

迂回貿易は規制緩和のために利用されることもあります。

貿易は国同士の取引のため、各国それぞれにルールが存在します。

つまり、ある国や地域では厳格な輸出規制や品質基準が存在する一方で、別の地域ではこれらの規制が緩やかな場合があるということ。

例えば、A国がB国からの輸入を禁止していた場合、A国はB国にある製品を輸入をしたくてもできません。

そこでA国とB国の両国と貿易が可能なC国という第三国を間に挟み、迂回貿易をすることでA国はB国の製品を輸入できるようになるというわけです。

また、各国の規制の差異を利用して、より緩和された地域や条件で商品を製造し、それを迂回貿易の経路に組み込むケースもあります。

迂回貿易の具体例:北朝鮮産水産物の輸入

では、実際に迂回貿易が行われた具体的な事例をみていきましょう。

現在、日本では原則として、北朝鮮を原産地または船積地域とする全ての貨物について、輸入を禁止しています。

しかし、中国企業の紹介を受け、北朝鮮産の水産物を中国経由で迂回輸入したというケースがありました。

第三国を経由した北朝鮮からの迂回輸入については、その防止・取締のため、経済産業省、税関及び警察等の関係機関が連携して、厳格に審査・検査等の対応を行っています。

このようなケースのように輸出入が禁止されている国に第三国を間にいれて貿易を行い、規制をすり抜けるために迂回貿易が使われることは珍しくありません。

【迂回貿易の理由③】コストの削減

目的の国へ直接輸出をするよりも輸送や生産のコストが低い他の経路が存在する場合、コスト削減のために迂回貿易を使うこともあります。

迂回貿易の一環として他の目的と組み合わせながら、生産を別地域に移すことで製造コストを低くし、同じ商品をより競争力のある価格で提供することが可能になります。

迂回貿易が各国に与える3つの影響

ここまで迂回貿易をする理由について説明をしてきました。

理由だけ聞くとコスト削減に繋がったり、手に入れにくい製品が輸入できたりすることはメリットのように感じますが、迂回貿易は各国の経済や安全保障などに影響を与えかねません。

具体的には

  • 国家経済への影響
  • 安全性への影響
  • 国際関係への影響

が大きな影響とされています。

ここからそれぞれの影響について解説をしていきます。

影響①:国家経済への影響

迂回貿易の1つ目の影響は国家経済への影響です。

まず迂回貿易によって関税の回避が起こると、国が本来得られるべき税収が失われます。

これは国の予算に悪影響を与え、公共サービスへの資金提供に支障をきたす可能性があります。

そのため結果として経済政策の調整や、新たな貿易政策や規制の導入、産業政策の再編成などを検討しなければなりません。

その他にも迂回貿易による経済への影響として

  • 雇用の変動
  • 国内産業の衰退
  • 産業構造の変化

などの影響が考えられます。

迂回貿易が増え、関税を課すことが出来なければ、自国産業が輸入品に価格競争で負けてしまうこともあるので、自国産業を保護するためにも、関税から逃れる目的での迂回貿易を防ぐ必要があります。

影響②:安全性への影響

迂回貿易をすると、製品がより複雑なルートを経由することが増え、それが安全性に影響を与える可能性があります。

例えば、製品が複数の国やエリアを経由すると、製品それぞれの品質管理が難しくなります。

そして各経由地での検査や管理が不十分であれば、不良品や偽造品が混入しやすくなるでしょう。

迂回貿易では、異なる国の法律や取引基準、規制に差異があるため、基準を潜り抜け、品質や安全性が低い製品が市場に出回ってしまうリスクがあります。

影響③:国際関係への影響

迂回貿易は国際関係へ影響を与えることも少なくありません。

迂回貿易が増加すると各国は貿易や新たな関税の導入を考え、国際的な関係が緊張する要因となります。

利益が相反する場合は法的な紛争が発生し、国際的な法的問題が生じる可能性も。

また貿易が不透明で複雑になると、国際的な協力の減少が起こるかもしれません。

そして国々がお互いに信頼し合えない状態が続くと、国際問題の解決や協力が難しくなっていくでしょう。

これらの要因から迂回貿易が増えることで透明性、公正性、そして国際的な協力を強化するための対策が求められます。

迂回貿易には大きな影響やリスクがある

ここまで説明してきた通り、迂回貿易には国レベルでの大きな影響やリスクが存在します。

そしてこうしたリスクを回避するために、各国は貿易管理を行っているという面もあります。

最近は不安定な国際情勢から、いつどこで輸出入の規制が起こるか判断が難しいところですので、輸出入をすることがある場合、国際情勢も常にチェックしておくといいでしょう。

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