貿易におけるバンニングとデバンニングとは?流れとポイントを解説
貿易業界や物流業界では聞くことも多い「バンニング」と「デバンニング」
これらの言葉は「積み込み・荷下ろし作業」を意味しており、特に国際物流にはバンニングとデバンニングは欠かせない作業です。
そこで今回は「バンニング」と「デバンニング」をテーマに
- バンニングとデバンニングとは
- バンニングをするコンテナの種類とサイズ
- バンニングをしてから輸出までの流れ
- 輸入してからデバンニングの流れ
- バンニングのポイントや注意点
を徹底解説します。
一般的に知られるケースが少ない、バンニングとデバンニングについて一緒にチェックしていきましょう。
目次
貿易におけるバンニングとデバンニングとは
先ほど説明した通り、貿易におけるバンニングとデバンニングとは「積み込み・荷下ろし作業」のこと。
バンニングが輸出する貨物をコンテナに積み込む作業で、デバンニングが輸入した貨物をコンテナから運び出す作業です。
英語ではバンニングがVanning、デバンニングはDevanningと表現しますが、実際の現場では「Loading」「Unloading」という単語が使われます。
バンニングやデバンニングは手作業で行われることもありますが、貨物が大きい場合はフォークリフトを使って作業を行います。
バンニングをするコンテナの種類とサイズ
バンニングはコンテナに対して作業を行いますが、国際輸送で使用されるコンテナはいくつかの種類とサイズがあります。
ここからコンテナの種類とサイズについてそれぞれ紹介していきます。
コンテナの種類
国際輸送で使われるコンテナは主に
- ドライコンテナ
- リーファーコンテナ
- オープントップコンテナ
- フラットラックコンテナ
- タンクコンテナ
の5つに分類されます。
①ドライコンテナ
ドライコンテナは一般的な貨物を輸送するのに使われる基本的なコンテナです。
自動車や家電、食品などあらゆる貨物を積み込むことが可能なため、広く一般的に利用されています。
②リーファーコンテナ
リーファーコンテナは冷凍・冷蔵が可能なコンテナで、輸送中でも温度管理をすることが可能です。
生鮮食品などの国際輸送に使用され、一定の温度環境が必要なものに適しています。
一般的には、-30℃から+ 30℃まで0.1℃ずつ温度調節ができる仕様となっていますが、特別なリーファーコンテナは-60℃程度まで、コンテナ内を冷やすことができます。
③オープントップコンテナ
オープントップコンテナは、その名の通り上部が開いており、クレーンで上から荷物を積み下ろしできます。
大きなサイズや特殊な形状の貨物を運ぶのに適しており、建設機械や木材などの輸送に使用されることが多いです。
④フラットラックコンテナ
上部が開いているオープントップコンテナの側面も開いているタイプがフラットラックコンテナです。
ボートや大型機械など、高さや幅が通常のコンテナに収まらないものの輸送に利用されます。
コンテナからはみ出している貨物についてはオーバーゲージ貨物として、追加料金が発生するので注意が必要です。
⑤タンクコンテナ
タンクコンテナは、頑丈なコンテナフレームの内側にタンクがある作りで、化学品、食品油、液体ガスなどの輸送に適しています。
密閉された環境で液体を安全に輸送できます。
コンテナのサイズ
続いてコンテナのサイズについて紹介していきます。
コンテナのサイズはISO国際規格によって統一されており、
- 10フィート
- 20フィート
- 40フィート
- 40フィートハイキューブ
のコンテナがあります。
1フィートは30.48cmなので、10フィートコンテナは約3m。
20フィートコンテナは約6m、40フィートコンテナは約12mということになります。
40フィートハイキューブコンテナは通常の40フィートコンテナよりも高さが高いコンテナで、その違いは1フィート分です。
ちなみに最近は10フィートコンテナが使われることは少なく、20フィートか40フィートの長さのコンテナがメジャーとなっています。
バンニングをしてから輸出までの流れ
それではバンニングから輸出までの流れがどのようになっているのか解説します。
コンテナを使って国際輸出をする際は、まず船会社にコンテナの予約をします。
そして、空コンテナの輸送をしてくれる「ドレー業者」にバンニング場所まで、コンテナを運んでもらい、到着後バンニングを行います。
ドレー業者を手配する際、引き取り場所やバンニング場所、持ち込み場所などのスケジュールを伝えます。
また、バンニングをする前には、コンテナ内の破損や汚れを一度確認してから積み込みを開始します。
バンニング後は、輸入地でコンテナが開封されていないことが確認できるよう、金属製のシールで封をします。
その後、再度ドレー会社が港湾にあるコンテナターミナルにコンテナを搬入し、予約をした輸送船にコンテナを積み込みます。
輸入してからデバンニングの流れ
続いて、コンテナを輸入をしてからデバンニングまでの流れを解説していきます。
コンテナの到着が迫ると、輸入者にアライバルノーティスと呼ばれる、到着案内が届きます。
このアライバルノーティスがきたら輸入者は支払い等の準備をします。
コンテナはデバンニング場所まで保税輸送をするかコンテナヤードで輸入通関までして、デバンニング場所まで輸送されます。
その後、バンニング時に封をした金属製のシールをはがし、デバンニング作業の開始です。
デバンニングの際は
- 貨物の中身が書類とあっているのか
- 紛失が起きていないか
- 大きな破損などがないか
を確認します。
仮に異常があった場合、それがどこで起きたのかをはっきりさせなければならないため、注意して確認しなければなりません。
デバンニングが完了したら、ドレー会社に空コンテナの返却を依頼し、デバンニング後の貨物はトラックで国内輸送をします。
バンニングの3つのポイントや注意点
バンニングにはいくつかのポイントがあります。
ここから「バンニングのポイントや注意点」を3つ紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
①荷崩れを起こさないように積み込む
国際輸送で非常に長い距離を運ぶことは、たくさんのリスクが存在します。
中でも、海上輸送の場合最も気を付けなければならないのが「荷崩れ」
長い航海の間には高波に遭うことも多く、コンテナの中身が大きく揺れてしまうこともしばしば。
そのため、バンニングの際は中で荷崩れを起こさないように積み込みをする必要があります。
ラッシングベルトやワイヤーなどを使い、きちんと貨物を固定しておくことが大切です。
また、横転などのリスクを避けるためにも、貨物の重さが上下左右に偏りがないように考えて積み込みをしなければなりません。
②いかに効率よく貨物を積み込むことができるか
コンテナ輸送の際、基本的に輸送コストはコンテナ単位で決まります。
つまり、コンテナの中身がスカスカでも、いっぱいに詰まっていても、輸送にかかるコストは同じ。
そのため「いかに効率よく貨物を積み込むことができるか」がコスト削減の大きなカギとなります。
できるだけ隙間がないように積み込みをし、積載効率をどれだけ高めることができるかがバンニング時のテクニックとなります。
③デバンニングがスムーズできるよう気を付ける
バンニング時はデバンニングがスムーズにできるようにも注意をしなければなりません。
積み込みの順番や固定の方法など、積み込むだけでなく、降ろすことも考えながらの積み込みが必要です。
また通常、空コンテナを持ってきたドライバーはデバンニングが終了するまで待機をしています。
待機時間は標準2時間とされており、2時間を超えると「ドレー待機料」という追加料金が発生することも。
ドレー待機料の発生を防ぐためにも、デバンニングしやすいバンニングが重要となります。
バンニングとデバンニングはコンテナ輸送に必要不可欠
コンテナ輸送にバンニングとデバンニングは欠かせません。
そしてバンニングはただ積み込むだけでなく、積載効率やバランスを考えて積み込みをする必要があります。
物流がグローバルに発達している現在、バンニングの重要性は今後より注目されていくでしょう。
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