AEO制度をわかりやすく解説!メリットやAEO事業者のなり方も紹介

国際輸送では、安全性等の観点からどうしても輸出入の手続きに時間がかかりがちですよね。

しかし「AEO制度」と呼ばれる、制度の認定を受けていれば、スムーズな輸出入が可能になるということをご存じでしょうか。

AEO制度は国際的にも各国で採用されている制度であり、その認定事業者数は年々増えています。

そこで今回は「AEO制度」をテーマに

  • AEO制度とは
  • AEO事業者の種類
  • AEO制度のメリット・デメリット
  • AEO事業者になる方法

などを徹底解説していきます。

AEO制度について詳しく知りたいという人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

AEO制度とは

AEO制度

・AEO制度とは「Authorized Economic Operator」の略で、

  • セキュリティ管理
  • コンプライアンス制度

の両方がきちんと整備されている事業者に与えられる認定制度です。

税関によって許可・認定され、認定事業者となるとスムーズな輸出入手続きが可能となります。

2001年、アメリカで発生した同時多発テロをきっかけに、様々な国でAEO制度の導入が開始され、日本は2008年に制度の導入を開始しました。

6種類のAEO事業者を解説

AEO制度は細かく分けると

  1. 特定輸出者制度(AEO輸出者)
  2. 特定輸入者制度(AEO輸入者)
  3. 特定保税承認者制度(AEO保税承認者)
  4. 認定通関業者制度(AEO通関業者)
  5. 特定保税運送者制度(AEO保税運送者)
  6. 認定製造者制度(AEO製造者)

の6種類に分けられます。

それぞれの制度にメリットがあり、認定事業者となることで、輸出入の手続きをスムーズにすることが可能です。

ここから、それぞれの制度について解説をしていきます。

①特定輸出者制度(AEO輸出者)

特定輸出者制度(AEO輸出者)は、輸出をする事業者を対象としています。

特定輸出者制度を使うことで、具体的には下記のメリットがあります。

  • 特定輸出申告の利用
  • 申告官署の自由化
  • 輸出許可後の訂正に係る申請手続の簡素化
  • 通い容器に関する免税手続の簡素化
  • 加工又は修繕のため輸出入される貨物に係る輸出申告時の簡素な手続
  • カルネ申告に係る申告官署の弾力化
  • 審査・検査の軽減
  • 相互承認(MRA:Mutual Recognition Arrangement)
  • 国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法に係る手続との連携【国土交通省】
  • KS/RA(Known Shipper/Regulated Agent)制度との連携【国土交通省】
  • 安全保障貿易管理との連携【経済産業省】
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/aeo_merit.htm#01

通常、輸出を行う際には保税地域と呼ばれる場所に貨物を運ばなければなりません。

しかし、特定輸出者制度では、認定事業者についてはその必要がなくなります。

貨物を保税地域に搬入することなく、輸出申告ができる「特定輸出申告」をはじめとする、輸出手続きの簡素化や検査の軽減を受けることが可能です。

輸出許可を得るまでのスピードが早くなるので、リードタイムの短縮やコストの削減に繋がります。

②特定輸入者制度(AEO輸入者)

特定輸入者制度(AEO輸入者)は、簡単に説明すると上記で説明した特定輸出者制度の輸入者側バージョンです。

  • 特例申告の利用
  • 申告官署の自由化
  • 加工再輸入減税制度の減税手続の簡素化
  • 加工又は修繕のため輸出入される貨物に係る輸入申告時の簡素な手続
  • 通い容器に関する免税手続の簡素化
  • ワシントン条約該当貨物の輸入に係る検査場の緩和
  • カルネ申告に係る申告官署の弾力化
  • 審査・検査の軽減
  • 相互承認(MRA:Mutual Recognition Arrangement)
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/aeo_merit.htm#02

が可能となります。

貨物の引き取りをする際、特例申告をすることで、通常の輸入引取申告よりも少ない申告で引取申告をすることが可能です。

また、特例申告貨物については保税地域に搬入される前に輸入申告を行うことができるため、輸入許可を得るための時間が短くなるメリットがあります。

③特定保税承認者制度(AEO保税承認者)

特定保税承認者制度(AEO保税承認者)は、保税蔵置場に関する事業をしている倉庫事業者が対象となります。

内容としては

  • 届出による保税蔵置場等の設置
  • 届出蔵置場等に係る帳簿の保存期間の短縮
  • 検査の軽減
  • 許可手数料の免除
  • 相互承認(MRA:Mutual Recognition Arrangement)
  • 国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法に係る手続との連携【国土交通省】
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/aeo_merit.htm#03

となっています。

一般的に許可が必要な保税地域の設置が届出のみで行えるようになったり、保税地域の許可期間が6年から8年になるというメリットがあります。

その他にも帳簿の保存期間が2年から1年に短縮されることや税関が行う保税業務検査を軽減することが可能です。

④認定通関業者制度(AEO通関業者)

認定通関業者制度(AEO通関業者)は、通関業者が対象となる認定制度です。

具体的には下記のメリットがあります。

  • 申告官署の自由化
  • 特定委託輸出申告の利用 【輸出に係る緩和措置】
  • 特例委託輸入申告の利用 【輸入に係る緩和措置】
  • 加工再輸入減税制度の減税手続の簡素化
  • 加工又は修繕のため輸出入される貨物に係る輸出入申告時の簡素な手続
  • ワシントン条約該当貨物の輸入に係る検査場の緩和
  • カルネ申告に係る申告官署の弾力化
  • 相互承認(MRA:Mutual Recognition Arrangement)
  • 国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法に係る手続との連携【国土交通省】
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/aeo_merit.htm#04

輸出者の依頼を受け、通関手続きをする際に保税地域以外にある貨物の特例輸出申告を行い、輸出許可を得ることが可能となります。

輸入の際も依頼を受けることを前提に同様の特例申告ができるので、リードタイムの短縮に繋がります。

⑤特定保税運送者制度(AEO保税運送者)

特定保税運送者制度(AEO保税運送者)は運送業者を対象にした制度です。

その内容は

保税運送ごとの承認手続が不要

特定委託輸出申告に係る貨物の運送が可能に

相互承認(MRA:Mutual Recognition Arrangement)

国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法に係る手続との連携【国土交通省】

https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/aeo_merit.htm#05

となっています。

通常は保税輸送の際は、税関で個々の承認が必要ですが、特定保税運送者制度を利用すれば簡易的な手続きが可能です。

また、特定委託輸出申告に係る貨物も輸出者から委託を受けて保税地域以外の所から、直接港へ運ぶことができるようになります。

⑥認定製造者制度(AEO製造者)

AEO制度最後の種類として紹介するのが認定製造者制度(AEO製造者)

認定製造者制度(AEO製造者)は輸出する製品の製造側を対象とした制度のこと。

  • 特定製造貨物輸出申告の利用
  • 申告官署の自由化
  • 相互承認(MRA:Mutual Recognition Arrangement)
  • 国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法に係る手続との連携【国土交通省】
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/aeo_merit.htm#06

上記が主な内容となっています。

輸出貨物を保税地域に搬入せずに輸出許可が得られるなど、納期の短縮やそれに係るコストの削減が可能です。

AEO制度の3つの大きなメリット

自由貿易 サムネ

ここまで紹介した6種類のAEO制度には、それぞれメリットがありますが、全体的に

AEO制度の大きなメリットをまとめると

  • 輸出入業務の迅速化
  • コストの削減
  • 納期の短縮

の3つに繋がります。

船積みまでの素早い輸送や、貨物の場所に関わらず、どこの税関にも申告ができる「申告官署の自由化」などを利用することで、スムーズな輸出入が実現できるようになります。

AEO制度にデメリットはある?

手続きに時間がかかる輸出入をスムーズにしてくれるAEO制度。

セキュリティとコンプライアンスの管理がきちんと整っており、承認を受けることができるのであれば、デメリットというデメリットはほとんどありません。

とはいえ、管理に関わる人件費と時間はもちろん、違反行為があった場合には罰則を受ける可能性があることは忘れないでください。

AEO事業者になる方法

AEO事業者となるには、セキュリティとコンプライアンスの要件を整え、税関からの承認を受ける必要があります。

検討段階から一連の流れは、下図の通りとなっています。

AEO事業者
https://www.customs.go.jp/aeo/aeo-process.pdf

AEO事業者の承認のポイント

ここまでお伝えしてきた通り、AEO事業者となるには「セキュリティ面」と「コンプライアンス面」において要件を満たさなければなりません。

具体的な審査内容として

  • 過去の法令違反歴等に関する審査
  • 業務遂行能力等に関する審査 
  • 法令遵守規則等に関する審査

となっており、これらの要件をきちんと守ることがAEO事業者の承認のポイントです。

これらに加えて、自分が申請するAEO事業者の種類によって若干の審査の違いはあるものの、大枠としてはセキュリティと法令順守であるということを覚えておきましょう。

AEOには相互承認制度がある

AEO制度には相互承認制度という仕組みがあります。

AEOの相互承認制度とは、AEO認定事業者は輸出入手続きの際、日本のみならず取引相手国での輸出入手続きでも、審査や検査を軽減することができる制度です。

相互承認の対象となる国は、AEO制度の種類によって異なりますが、例えば特定輸出者制度の場合、

  • アメリカ
  • カナダ
  • EU
  • イギリス
  • 韓国
  • 中国
  • 台湾
  • 香港
  • タイ
  • マレーシア
  • シンガポール
  • ニュージーランド
  • オーストラリア

上記13カ国とAEO相互承認をしているため、相手国の税関でも輸入の審査手続きが軽減されます。

これらのAEO相互承認国は、今後増えていくことが期待されています。

AEO制度でスムーズな貿易を

AEO制度はスムーズに貿易を行うために重要な役割を果たしています。

グローバル経済が拡大していくと共に輸出入はより盛んになっていくため、AEO制度も今後注目されていくことでしょう。

制度を理解し、上手く利用することでぜひAEO制度のメリットを活かしてください。

輸出入代行.comでは、輸出事業のサポート・海外事業に必要なことを丸投げできるサービスを行っているので、ぜひお気軽にお問合せください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です