自由貿易のメリットとデメリットとは?保護貿易との違いも解説

新しい技術や制度をきっかけに経済もよりグローバル化が進んでいますよね。
そしてグローバル経済を成立させる上で欠かせないのが「自由貿易」

自由貿易という言葉は、なんとなく聞いたことがある人が多いでしょうが、そのメリットやデメリットまで詳しく知っているという人は少ないですよね。

そこで今回は「自由貿易」をテーマに

  • 自由貿易とは何か
  • 自由貿易の対義語である「保護貿易」とは
  • 自由貿易のメリットとデメリット
  • 自由貿易協定「FTA」について

など、自由貿易にまつわることを徹底解説します。

貿易や輸出入業務に携わる人、海外ビジネスについて知りたいという人は、ぜひ最後までチェックしてみてください!

自由貿易とは

自由貿易 サムネ

そもそも「自由貿易」とは何なのでしょうか。

自由貿易とは、言葉の通り「規制や制限をすることなく自由に行っていく貿易」のことです。

つまり、国と国との取引において障壁をなくし、よりスムーズに輸出入ができるようにしようということです。

必要なものが手に入れやすくなり、経済がより発展することが期待できますが、バランスが崩れてしまうと足りないものも出てきてしまうため、国と国が協力することが大切となります。

自由貿易の対義語である「保護貿易」とは

自由貿易の反対に位置する言葉として「保護貿易」というものがあります。

保護貿易は、国が自国の産業を保護しようとする経済政策の一つです。

これは、他国からの競争を阻むために、関税(輸入税)や輸入制限を設けることで、国内の産業を守ろうとする考え方です。
国内の雇用を守り、国内企業が他国との競争に負けないようにすることが目的となります。

しかし、保護貿易が行われると、他国との貿易が減少し、効率の低い産業が成長してしまう可能性もあるので注意が必要です。
このため、上記でも触れた通り、自由貿易と保護貿易のバランスを取ることが経済政策の中で重要とされます。

自由貿易のメリットとデメリット

それでは、ここから自由貿易のメリットとデメリットを解説していきます。

一見、メリットしかなさそうな自由貿易。 
しかし、一概にメリットしかないというわけではなく、デメリットをきちんと理解しておくことが重要です。

一緒にチェックしていきましょう。

自由貿易のメリット

自由貿易のメリットは大きく分けると以下の3つになります。

  1. 選択肢の拡大
  2. 価格の低下
  3. 経済成長とイノベーション

それぞれ詳しく解説していきます。

【メリット①】選択肢の拡大

自由貿易をすると、国々がお互いの得意分野で商品を生産し、交換することができるようになります。
そして、これまで国内になかった商品やサービスが市場に入りはじめます。

消費者はより多くの選択肢を持つことができるため、自分に合った商品を選びやすくなるでしょう。

自由貿易は市場全体に多様性を生み、選択肢が拡大していくきっかけとなります。

【メリット②】価格の低下

自由貿易には「価格の低下」を引き起こす効果もあります。

国同士で競争が促進されるため、他国からの輸入品が入ってくると、同様の国産品との競争が発生します。

これにより、商品の価格が下がり、消費者はより安い価格で商品を手に入れることができるようになります。

【メリット③】経済成長とイノベーション

自由貿易は経済成長とイノベーションを促進します。

外国との貿易により新たな市場が開かれ、国際的な経済活動を活性化するので、企業や経済が成長していきます。
市場が活性化すると、アクセスや技術の流れが進み、更なる経済成長へと繋がります。

また競争が刺激されることで、企業は新製品や新技術を開発し、競争相手との差別化を図るため、結果的にイノベーションが生まれやすくなるでしょう。

自由貿易のデメリット

続いて、自由貿易のデメリットを解説します。

デメリットを大きく分けると以下の3つになります。

  1. 雇用の減少
  2. 輸入国産業の衰退
  3. 国家安全保障の懸念

それでは詳しくチェックしていきましょう。

【デメリット①】雇用の減少

自由貿易により、他国で生産された安価な商品が入ってくると、同じ商品を生産している国内の企業が競争できずに経営が困難になり、従業員の雇用が減少することがあります。

また、企業は生産コストをできる限り削減しなければならないため、賃金や福利厚生などを含む労働条件が低下するリスクも考えられるでしょう。

【デメリット②】輸入国産業の衰退

自由貿易が進むと、多くの輸入品が国内市場に流入するため、国内の一部の産業が競争に耐えられなくなり、産業が衰退するリスクが生じます。

具体的には

  • 価格競争
  • 生産効率の差
  • 新技術への対応不足

などの問題が発生し、今まで国内生産をしていた産業も、海外生産に取って代わられる可能性があります。

つまり、輸入品が国内市場で成功すると、国内製品の需要がなくなってしまい、それに伴って輸入国産業の衰退が進んでしまうということです。

【デメリット③】国家安全保障の懸念

他国からの輸入に依存しすぎると、その国が外部からの影響を受けやすくなり、国家安全保障上の懸念が生じる可能性があります。

食料などの人々の生活に密接しているものから、国防に関係するものなど、国家戦略的に重要な産業を他国に頼りすぎてしまうと、何か問題が発生した際に、国全体が危機に瀕することが避けられません。

特に最近は世界情勢が不安定になりつつあるので、安全保障の観点はより重要視されています。

自由貿易協定「FTA」とは

自由貿易を語る上で欠かせないのが「FTA」と呼ばれる「自由貿易協定」

自由貿易協定(FTA)は、複数の国または地域が貿易障壁を撤廃し、相互の貿易を自由化するために合意する国際的な取り決めです。

FTAの主な特徴は

  • 関税の軽減または撤廃
  • 貿易障壁の撤廃
  • 経済的統合

の3つです。

協定国の間で関税を軽減または撤廃することで、輸出入が活発化し、商品やサービスの自由な流通が促進されるため、経済的な協力がより進んでいきます。

また関税以外にも、FTAは非関税的な貿易障壁(規制や標準の違い等)を取り扱うことがあります。

FTAとEPAの違い

FTAとよく混同されてしまう協定として「EPA」という協定があります。

EPAとは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)の略称であり、国や地域間での貿易等を活性化させる協定です。
ここまで聞くと、EPAがFTAに非常に似ている協定だと考えてしまいますよね。

実際のところ、FTAの内容はEPAにも含まれており、EPAはFTAよりも、より幅広い範囲をカバーした協定となっています。

具体的には、

  • 投資
  • サービス
  • 知的財産の保護
  • 人的交流等の社会的側面

など、貿易だけでなく、包括的なルール作りを提供しています。

要するに、FTA、EPAともに自由貿易を活発にし、経済を発展させることを目的にしているということは変わりません。

日本のFTA発効状況

続いて、日本のFTA発効状況をチェックしていきましょう。

外務省HPの公表によると

発行済・署名済(21カ国)

シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN全体、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12(署名済)、TPP11、日EU・EPA、米国、英国、RCEP

交渉中(3カ国)

トルコ、コロンビア、日中韓、GCC(注:2024年に交渉再開予定。)

その他(交渉中断中・2カ国)

韓国、カナダ

国際間ビジネスが当たり前の世の中となり、FTAを結んでいないことによる損失が発生し始めているため、日本国もFTAを締結する動きが高まっていると考えられます。

FTAが生まれた背景にはGATTとWTOがある

それでは最後に「FTAが生まれた背景」について触れていきます。

FTAが生まれた背景にはGATTとWTOがありました。

GATT(General Agreement on Tariffs and Trade)とは、関税および貿易に関する一般協定で、国際貿易制度を調整し、促進するための国際機関のことです。

1947年に23カ国によって署名・発効され、第二次世界大戦後の国際的な協力と貿易推進を目的としてつくられました。

具体的には、関税および貿易に関する規則と原則を策定し、それを通じて国際貿易の拡大と自由化を促進していました。
しかし、国際貿易において、関税以外の分野での役割が必要となったため、1995年にGATTは世界貿易機関(WTO)に移行しました。

WTOへの移行後

WTOはGATTの後継組織で、関税だけでなく、サービス、知的財産、農業など、多岐にわたる分野で国際貿易の規制を行っています。

WTOは多国間貿易を推進し、ルールの策定をしているものの、加盟国が164カ国もあるため、全ての国と地域が納得をするルールを作ることは、難しく、非常に長い時間がかかってしまいます。

そこで「そんな長い時間を待たず、利害関係が一致する国同士で、貿易の自由化を目指そう」という流れが生まれ、協定国間でFTAの締結が増加することとなりました。

これから自由貿易の流れはより活発になる

今後、自由貿易の流れはより活発になると予想されています。

技術やネットワークの発展から、グローバル化が進み、国同士の垣根はどんどん低くなっていくでしょう。
もちろん、自由貿易をただ進めるだけでは、リスクも多くあるので、保護貿易の観点も忘れてはなりません。

自由貿易と保護貿易、両方のバランスをとりながら、経済成長を図っていくことがより重要となるでしょう。

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