円安が製造業に与える影響は?輸出入におけるメリット・デメリットを解説

最近、ニュースで取り上げられることも多い「円安」

新型コロナに始まり、ウクライナ有事をはじめとする不安定な世界情勢、物価の上昇など様々な要因から、今までにない円安となりつつあります。

特に2022年以降、1ドル150円を超えることもあり、日本経済に大きな影響を与えていることは間違いありません。

そこで今回は「円安が製造業に与える影響」をテーマに、

  • そもそも円安とは何か
  • 製造業における円安のメリット・デメリット
  • 円安によって製造業の国内回帰が進むのか

を解説していきます。

製造業において円安が進むとどうなるのか気になる人は、ぜひ一緒にチェックしていきましょう。

円安とは?

円安

そもそも「円安」とは何なのでしょうか。

「円安」とは、一般的に日本の通貨である「日本円」の価値が外国の通貨に対して相対的に低下することを指します。

言い換えれば、外国の通貨(たとえば米ドルやユーロ)を日本円で購入する際に、以前よりも多くの日本円が必要となる状態を指します。

例えば、2010年に1ドルが100円だったとします。

この時点で、1,000ドルを持っている場合、日本円で換算すると、100,000円相当です。
しかし、現在のように、円安が進み、1ドルが150円になったとします。

その場合、同じ1,000ドルを持っている時、今度は150,000円相当になります。
つまり、1000ドルの製品を購入する際、円安の状況だと支払う金額が、より高額になってしまうということです。

円安が起きる主な原因は、日本の中央銀行である日本銀行が、経済政策の一環として日本円の供給を増やし、金利を低く維持するなどの措置をとることによって、日本円の価値を下げることにあります。

「円安」というのは、外国通貨を持つ人にとって、日本の商品やサービスが安く感じられ、逆に日本から見ると、外国の商品やサービスが高くなってしまいます。

製造業における円安の3つのメリット

それでは、ここから「製造業における円安のメリット」を3つ紹介していきます。

【メリット①】海外での価格競争に強くなる

円安は、日本の製造業にとって国際市場での競争力を向上させる要因となります。

これは、円安が進むと、日本製品の価格が外国通貨で見ると安くなるため、他国の競合製品に比べて魅力的になる、つまり購入しやすくなるからです。

例えば、日本の自動車メーカーが車を海外で販売する場合、円安により車の価格が他国の競合車に比べて競争力があるものとなり、販売を促進しやすくすることができます。

【メリット②】現地通貨の価値が高まる

円安は、海外での事業を展開する日本企業にとって利益を増加させる要因の1つです。

外国での売上の場合、その国の通貨で利益を得られるため、円で換算した場合、収益が増えます。

例えば、日本の電子機器メーカーがアメリカでテレビを販売する場合、ドルでの売上げが増加するため、円に換算した場合の収益も増えるでしょう。

つまり、円安によって現地通貨の価値が高まり、海外事業の利益が増加することとなります。

【メリット③】国内消費比率が高まる

円安は、日本国内で製造業を展開する企業にとっても利益をもたらすでしょう。

これは、外国での需要が高まる一方で、国内での生産を促進するための需要も高まるからです。
国内の労働市場やサプライチェーンにも活気が生まれ、雇用機会が増加することが考えられます。

また、輸入品の価格が高騰するので、国内消費も促進される可能性が高まり、これが経済全体にプラスの影響を及ぼすことが期待されます。

製造業における円安の2つのデメリット

続いて「製造業における円安のデメリット」を2つ解説します。

それではチェックしていきましょう。

【デメリット①】原材料の高騰

円安は、多くの原材料を国外から輸入しなければならない日本の製造業にとって、原材料のコスト増加を招きます。

円安が進むと、外国通貨で価格が表される原材料(金属、プラスチック等)の価格上昇が避けられません。
これにより、製造業者は原材料調達にかかるコストが増え、結果的に製品の生産コストが上昇するでしょう。

原材料価格の高騰は、企業の利益率を圧迫する要因となります。

【デメリット②】エネルギー価格の高騰

日本はエネルギーの多くを国外から輸入しているため、外国通貨で価格が決まります。

そのため、円安はエネルギー価格の高騰を引き起こします。

円安が進むと、これらのエネルギー資源(石油、天然ガス)の価格が上昇することがあり、製造業者はエネルギーコストの増加に直面するでしょう。

エネルギー価格の上昇は、製品の生産から輸送にかけてのあらゆる段階に影響を及ぼし、企業の収益を圧迫します。
これは企業の収益性に影響を及ぼし、今後、経営の課題となることは間違いありません。

企業は、競争力を維持しつつ、これらのコスト増加への対策を検討する必要があります。

円安によって製造業の国内回帰が進むのか

上記でも説明した通り、円安が進むと、国際ビジネスにおいて、日本製品の価格競争力が高まり、輸出での大きなメリットが得られます。
もし、このメリットを活かし、国内回帰が進めば、製造業もより活発になっていくでしょう

また、企業にとっても国内回帰することで、

  • 輸送コストの削減
  • 品質管理のしやすさ
  • 雇用の創出

など、生産コスト以外の面でもメリットは少なくありません。

とはいえ、円安がいつまで続くかを予想することは難しいですし、為替変動が激しく起こる状況では、国内回帰をすることはリスクといえます
また、今まで低コストで生産ができていた地域でも、賃金をはじめとする生産コストが上がりつつあるという現状も無視できません。

国内回帰の成功には、コスト削減だけでなく、様々な観点からの影響を考えることが不可欠です。

円安の状況下ではよりバランスよく海外事業を行う必要がある

円安は日本の製造業にとって、国際市場での競争力を高め、海外での事業利益を増加させ、国内経済にも好影響を及ぼす要因となる一方、デメリットも存在しています。

とはいえ、メイドインジャパンのブランド力は今でも高く評価されているので、このブランド力を活かさない手はありません。

円安によるメリットとデメリット・リスクをバランスよく考えつつ、うまく海外企業とのやり取り、現地での取り組みを進めていくことがより大切になっていくでしょう。

輸出入代行.comでは、輸出入ビジネス、海外事業に必要なことを丸投げできるサービスを行っているので、ぜひお気軽にお問合せください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です