HSコードは世界共通?桁数や調べ方&誰が決めるのかを徹底解説
輸出入業務などの国際輸送に欠かせない要素の1つである「HSコード」
貿易業務に携わる人であれば、HSコードという単語を聞いたことがある人も多いと思います。
しかしHSコードの桁数や調べ方、誰が決めるのかなどを詳しく知っている人は意外と少ないですよね。
そこで、この記事では、HSコードの基礎知識をはじめ、
- HSコードが必要な理由
- HSコードの桁数
- HSコードの調べ方
- 誰がHSコードを決めるのか
- HSコードの注意点
などについて解説していきます。
HSコードの理解を深め、スムーズな輸出入業務を実現するためにも、ぜひ最後までチェックしてください!
目次
HSコードとは?
HSコードは、国際的な商品の分類番号であり、世界中の国々で使用している商品分類コードです。
商品を識別し、特定のカテゴリーに分類することで、製品の輸出入をスムーズにすることができます。
HSコードという名称の由来は、HS条約に基づいて定められたコード番号なので「HSコード」と呼ばれています。
HSとは「Harmonized Commodity Description and Coding System」の略称です。
HS条約は、世界中で使用されるさまざまな商品について、一貫性のある分類システムを確立するため、1988年に世界税関機構(WCO)によって発行されました。
「Harmonized(ハーモナイズド)」という言葉は、「統一された」「調和された」という意味を持ちます。
商品の分類を統一することで、国際間の取引や貿易の円滑化を図り、貿易の障壁を減らすことを目的としています。
ちなみに、HSコードは
- 輸出入統計品目番号
- 関税番号
- 税番
などと呼ばれることがあります。
HSコードが必要な3つの理由
製品の輸出入をスムーズにする目的があるHSコードですが、より具体的にHSコードが必要な理由をチェックしていきましょう。
①関税の決定
HSコードは商品に適用される関税率を決定するために使用されます。
各国は商品のHSコードに基づいて関税を設定しており、正確なHSコードの選択によって関税の支払い額が正確に計算されます。
②輸入規制の適用
HSコードは商品に関連する輸入規制や規制要件を判断するためにも使用されます。
例えば、特定の商品カテゴリーには輸入許可証が必要な場合や、特定の安全基準や品質規格を満たす必要があるケースはすくなくありません。
正確なHSコードを適用し、確認することにより、適切な規制遵守が可能となります。
③統計情報の収集
貿易統計のデータ収集にもHSコードは使用されます。
貿易統計は経済政策の立案や国内産業の評価に重要な情報となります。
HSコードの桁数は?
HSコードは、一般的に6桁からなる分類番号です。7桁以降は各国が定める独自のコードとなっています。
例えば
- プラスチックキャップ:3923.50
- ビーチパラソル:6601.10
- インスタントプリントカメラ:9006.40
などです。
それぞれの輸入国でHSコードが確認されるため、輸出国と輸入国で異なるHSコードとなることも珍しくありません。
HSコードは
- 「部」
- 「類」
- 「項」
- 「号」
の4つの分類で構成されており、「部→類→項→号」の順で大きな分類から細かい分類へとなっていきます。
大分類である「部」は21種類で、その下に「類」が97種類存在します。類の下に「項」や「号」が分類されています。
21種類の「部」と97種類の「類」はどのような分類なのか、下の表にまとめたのでチェックしてください。
HSコードの調べ方
HSコードは税関のHPにて調べることが可能です。
しかし、HSコードは国によって独自のルールがありますし、輸出時と輸入時で異なることも少なくありません。
そこで「製品のHSコードを調べたい!」という人に、おすすめしたいのが税関が設けている「事前教示制度」
事前教示制度とは、関税分類や関税率などを照会してくれるサービスで、このような税関の制度を使うのも1つの手です。
手続きに時間がかかるものの、事前教示の回答内容は、回答書が発出されてから3年間、輸入申告の際に尊重されるというメリットがあるので、ぜひ利用を検討するのもいいでしょう。
HSコードは世界共通の番号
HSコードは、世界税関機構(WCO)が管理している「HS条約」に加盟をしている150カ国以上の国と地域、また加盟はしていないけれども、HSコードを使用している国と地域の「合計200以上の国と地域」で使用されています。
つまり、HSコードは世界的な基準として広く受け入れられており、国際貿易における世界共通の番号となっていますが、国・地域間で一部の違いがあることは忘れないようにしましょう。
HSコードは誰が決める?
HSコードは貿易に欠かせない番号であり、世界でも共通番号であることがわかったと思います。
そんなHSコードですが、製品がどの番号になるのかを誰が決めるのでしょうか。
結論からいうと、HSコードを決めるのは「輸出者」です。
そのため、輸出者は製品の原材料や構造・特徴を輸出統計品目表と比較し、最も適切なHSコードを選択しなければなりません。
輸出者での特定が難しい場合は、上記でご紹介した税関の「事前教示制度」を利用するなどして、HSコードを決める必要があります。
HSコードの3つの注意点
HSコードには使用するにあたり、いくつか注意点があります。
ここから、その注意点を3つ紹介するので、一緒に確認していきましょう。
①HSコードは約5年で改正される
様々な製品を分類しているHSコードですが、HSコードは約5年の周期で改正されます。
これは技術進歩や新しい製品の開発にも対応をするために、新しい分類の追加や関税率の見直しをするためです。
元から存在している製品でも、改正によってコード番号が変更になるケースもあるので、HSコードの改正があった場合は、確認するようにしましょう。
②HSコードを使わない国も存在する
お話しした通り、HSコードは200以上の国で使用されていますが、HSコードを使っていない国もあります。
具体的にはアメリカやブラジルなどで、アメリカでは「HTSコード」、ブラジルでは「NCMコード」と呼ばれる独自のコードを使用しています。
HTSコード
HTSコード(Harmonized Tariff Schedule)は、アメリカ合衆国において使用されている商品の分類コードです。
HTSコードは、商品を分類し、関税や貿易規制などの手続きを行うために使用されます。
HTSコードは、アメリカ合衆国国際貿易委員会(USITC)が管理しており、アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)と共同で運営されています。
HTSコードは、HSコードと同様に品目名と数字で構成されていますが、互換性はないです。
番号6桁で分類しているHSコードに対し、HTSコードは4桁の番号の後に2桁と4桁の番号が追加されて製品が分類されます。
NCMコード
NCMコード(Nomenclatura Comum do Mercosul)は、ブラジルおよびメルコスール(南米の共同市場組織)諸国で使用されている商品分類コードです。
NCMコードは、商品を分類し、関税や輸出入手続きに関連する情報を提供するために使用されます。
8桁の数字で構成されており、最初の6桁は、世界的に使用されているHSコードと同じです。
つまりブラジルでは、HSコードにさらに2桁の追加番号を付加して、NCMコードを形成しています。
ブラジルで商品の輸出入や関連手続きを行う場合、正確なNCMコードの把握が重要です。このコードは、関税当局や国際貿易関連の公的な機関、またはブラジル政府のウェブサイトで入手できます。
③HSコードが貿易国間で異なるケースもある
HSコードは輸出国と輸入国で異なることも少なくありません。
これは輸出国と輸入国での製品に対する認識の違いや情報の取得方法の違いから生まれるケースが多いです。
HSコードは輸入規制や関税率の計算に関わってくる重要な部分なので、輸出入国それぞれで認識の違いが起こらないよう注意しましょう。
HSコードは世界共通の品目分類番号
HSコードは世界共通の品目分類番号であり、現在の貿易には欠かせない番号です。
関税率の決定や輸入規制のみならず、貿易統計情報の収集にも使われています。
輸出入をする際はHSコードをきちんと確認し、製品の輸出入をスムーズできるよう準備していきましょう。
輸出入.comでは、貿易業務、輸出入業務をプロにまる投げできるサービスを行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。