危険物の輸出!危険物を国際輸送する際の注意点を徹底解説

国際輸送において、注意をしておかなければならないのが「危険物の輸出」

どのような危険物を扱うにしても、危険物を輸出する場合、国際的な規制と注意点を把握しておくことが欠かせません。
特に危険物の輸出は、通常の国際輸送とは異なり、準備しなければならない書類も多く複雑になりがちです。

そこで今回は「危険物の輸出における注意点」を徹底解説します。

  • 危険物の分類
  • 危険物の適切な包装
  • 危険物輸出の必要書類
  • 危険物の航空輸送と海上輸送

など、様々な要素について詳しく解説し、国際輸送における法的要件や規制に関する情報も取り上げます。

危険物の輸出に関する不安や疑問を解消するだけでなく、スムーズな国際輸送を実現するために、ぜひ最後まで読んでみてください。

国際輸送における危険物とは

危険物輸出

国際輸送における危険物とは、その性質や特性により、人や環境に損害や危険を及ぼす可能性がある物質や製品のことを指します。

これらの物質は、国境を越える際には厳格な規制が課され、適切な取り扱いでの輸送をしなければなりません。

具体的な基準としては「国際連合危険物輸送勧告」と呼ばれる、国連が定めた危険物リストによって決まっています。
国際連合危険物輸送勧告は9つの分類区分に分かれており、この区分に1つでも該当する場合、危険物と判定されます。

危険物のクラス(分類)

「国際連合危険物輸送勧告」で定めている9つの分類は以下の表の通りです。

クラス分類
クラス1火薬類花火、発煙信号筒、演習弾 など
クラス2高圧ガス消火器、プロパン、ライター など
クラス3引火性液体類ガソリン、ペイント、接着剤 など
クラス4可燃性物質類マッチ、硫黄、マグネシウム など
クラス5酸化性物質類塩素酸ナトリウム、漂白剤 など
クラス6毒物類殺虫剤、医薬品、染料 など
クラス7放射性物質類放射性医薬品 など
クラス8腐食性物質類水銀、蓄電池、アルカリ類 など
クラス9その他の有害性物質リチウム電池、ドライアイス など

UN番号とは

また「国際連合危険物輸送勧告」の中で危険性や有害性がある化学物質には「UN番号」と呼ばれる番号が付与されています。

UN番号は、危険物を識別するための固有の番号です。各物質や製品には、その危険性に基づいてUN番号が割り当てられます。

UN番号は、国際的に統一された識別方法であり、危険物の正確な識別が可能です。「UN」の接頭辞を持ち、4桁の数字で構成されています。

例えば、

  • UN1967:殺虫ガス類(毒性のもの)(他に品名が明示されているものを除く。)
  • UN2624:ケイ化マグネシウム
  • UN3065:アルコール飲料(アルコールの含有率が70容量%を超えるものに限る。)

などです。

輸送業者や関係者は、UN番号に基づいて適切な取り扱いや包装、ラベリング、文書作成などを行うことで、危険物の輸送中の安全性を確保します。
国際輸送における危険物の正確な識別と適切な処理は、人と環境の安全を確保するために欠かせません。

UN番号を理解し、適切に取り扱うことで、国際輸送におけるリスクを最小限に抑え、効率的かつ安全な物流を実現することができます。

危険物輸出における容器

危険物の輸出をする際は「UN容器」という特殊な容器が欠かせません。

UN容器とは、危険物の輸送に使用される特別な基準を満たし、国際的に認識されるUNマークと認証マークを備えている容器のことです。

  • 容器のタイプ
  • 材質(容器)
  • 様式
  • 対応危険物
  • 重量
  • 水圧試験圧力
  • 製造年
  • 承認国
  • 製造者

などが数字やアルファベットで判別できるようになっています。

ちなみに、特定の条件下でUN容器を使用せずに輸送が可能となる「少量危険物」という制度もあるので、輸出する製品が「少量危険物」に当てはまるかどうかは、事前にチェックしましょう。

危険物輸出のラベル

危険物の輸送には、適切な警告と識別を目的としたラベルが必要です。以下に危険物輸出のラベルについて詳しく説明します。

危険品クラスを示す標札

危険品クラスを示す標札は、輸送中の危険物の性質や危険度を表します。

標札には、クラス番号と該当するシンボルが表示されます。例えば、引火性液体の場合は”3″というクラス番号と、炎のシンボルが描かれた正標札が使用されます。

副次危険性がある場合は、それに対応する副標札も併用されます。

国連番号(UN No.)のラベル

国連番号のラベルは、危険物の特定の種類を示します。
国連番号は、危険品の正確な識別と分類に使用されます。

このラベルには、国連番号と該当する警告シンボルが表示されます。

例えば、その他液化石油ガスの場合は「UN 1075」という番号と、炎のシンボルが描かれたラベルが使用されます。

Proper Shipping Name

Proper Shipping Nameのラベルは、危険品の正式品名を表示します。

これは、商品名ではなく、国際的に規定された危険物の正式な名称です。
航空輸送では正式輸送品目名、海上輸送では正式品名とも呼ばれます。

危険品ラベルは、危険物の警告と識別をわかりやすくするために使用されます。
これらのラベルは国際的な規制に基づいて作成され、輸送中の関係者に対して危険性を表しています。

危険物の国際輸送にはSDSが必要

危険物の国際輸送には「SDS」の準備が必要です。

「SDS」は「Safety Data Sheet」の略称であり、日本語では「安全データシート」と訳されます。
SDSは、化学物質や製品の安全に関する情報を提供する文書です。

SDSには、危険物クラスとUN番号が記載されており、国際輸送においては、危険物の取り扱いや輸送に関する重要な情報源となっています。

その他SDSには、以下のような情報が含まれています。

  • 製品の識別情報
  • 成分情報
  • 危険性情報
  • 取り扱い情報

危険物の輸送に関与する関係者が適切な情報を把握し、安全な取り扱いを確保するためにSDSが必要になります。

危険物の航空輸送の基準「IATA危険品規則書」とは

国際航空運送協会(IATA)が策定している「IATA危険品規則書(IATA Dangerous Goods Regulation)」は、危険品の航空輸送に関する基準を定めています。

この規則書には、危険品の分類、梱包要件、マーキング・ラベリング、取扱い手順などが詳細に規定されているので、航空輸送の際は事前の確認が必要です。
IATA危険品規則書では、危険品をクラスやグループに分類し、それぞれに対して梱包・マーキング・ラベリングの要件があります。

また、危険物の国際輸送では、危険品が貨物専用機や旅客機のどちらに搭載されるかも重要な要素です。

IATA危険品規則書は、危険品の分類や数量、容量に基づいてそれぞれの搭載制限を定めています。これにより、危険物の性質やリスクに応じて適切な搭載方法が確保されます。

危険物の航空輸出のメリットとデメリット

危険物の航空輸出のメリットとデメリットを紹介します。

危険物の航空輸出の3つのメリット

危険物の航空輸出には、以下のメリットがあります。

①短期間での輸送

航空輸送は他の輸送手段に比べて速いです。
航空機は長距離を短時間で移動することができるため、急ぎの輸送や緊急性のある物品に適しています。

特に医療品や生命維持に必要な物資など、迅速な配送が要求される危険物の場合、航空輸送は時間を節約し、早急な供給を可能にします。

②高い安全基準

航空輸送では、より厳格な安全基準が適用されます。

IATA危険品規則書や航空会社の安全規制により、危険物の輸送に関する厳格な手続きや安全対策が確立されており、リスクを最小限に抑えながら安全な輸送を行ってます。

③一貫した環境条件

航空輸送では、貨物が一貫した環境条件で運ばれます。

航空機の貨物室は温度、湿度、振動などの要因から比較的安定した環境での輸送が可能です。
特に感度の高い製品や研究材料など、環境に敏感な危険物の輸送においては、航空輸送が適しています。

危険物の航空輸出の4つのデメリット

危険物を航空輸送する際には、以下のようなデメリットが考えられます。

①高い費用

航空輸送は他の輸送手段に比べて費用が高い傾向があります。

航空機の運航コストや安全基準の厳格さにより、航空輸送の料金は他の輸送手段に比べて高いです。

特に大量の危険物を輸送する場合や長距離の輸送では、費用面での負担が大きくなる可能性があります。

②量や容量の制限

航空機の貨物室の容量や重量制限のため、一度に輸送できる危険物の量や容量に制限が生じます。

大量の危険物を輸送する場合、複数の便に分けて輸送する必要があるかもしれません。
また、一部の危険物は航空輸送が制限されたり禁止されたりする場合もあります。

③品目の制限

航空輸送では、一部の危険物が制限されることがあります。

特に爆発物、引火性物質、毒物など、製品によっては航空会社や国際的な規制によって制限が設けられている危険物があります。

④規制や手続きの複雑さ

危険物の航空輸送には厳格な規制や手続きが存在します。
IATA危険品規則書に基づく規制や航空会社の要件に従わなければなりません。

危険物の分類や梱包、マーキング、ラベリングなどの手続きを遵守しなければならず、これらの規制や手続きの複雑さに対応するためには専門的な知識や経験が必要です。

これらのデメリットを考慮しながら、航空輸送を選択する際には費用、制限、手続きの面を注意深く検討する必要があります。場合によっては他の輸送手段を検討することも重要です。

危険物の海上輸出のメリットとデメリット

危険物の海上輸出のメリットとデメリットを紹介します。

危険物の海上輸出の3つのメリット

危険物を海上輸送することには以下のようなメリットがあります。

①費用効率の向上

海上輸送は一般的に他の輸送手段と比較してコストが低い傾向があります。

海上輸送では大量の貨物を一度に運ぶことができるため、効率的な費用削減が可能です。

特に、長距離や大量の貨物を輸送する場合には海上輸送が経済的な選択肢となります。

②安全性とリスク管理

海上輸送は他の輸送手段と比較して、危険物輸送の安全性が高いとされています。

また、海上輸送においては貨物の保管や取り扱いに特化した専門的な設備が利用されることが多く、危険物のリスクを最小限に抑えることができます。

③環境への影響の軽減

海上輸送は他の輸送手段に比べて環境への影響が比較的少ないとされています。

また、大量の貨物を一度に輸送できるため、輸送効率が向上し、燃料効率が良くなります。

危険物の海上輸出の2つのデメリット

危険物を海上輸送することには以下のようなデメリットがあります。

①輸送時間の長さ

海上輸送は陸上輸送や航空輸送と比べて輸送時間が長い場合があります。

船舶のスケジュールや天候、港湾の混雑状況などによって出荷から到着までかなりの時間がかかることが少なくありません。

特に遠隔地や島嶼部への輸送では、さらなる時間のかかる可能性があります。

②リスク管理

危険物の海上輸送は、リスク管理が非常に重要です。
海上輸送中に起こりうる事故や災害、荷役作業のミスなどによって、危険物の漏洩や破損が発生する可能性があります。

適切な包装、マーキング、ラベリング、保管などの対策が必要であり、これらの管理が不十分な場合は安全上のリスクが高まります。

危険物は規制をきちんと把握し安全に輸出しよう

危険物の輸出には細かい規制がたくさん存在します。
そして、そのルールに従って、書類の準備をしたり、梱包を行わなければなりません。

そのため、通常品の輸出よりも、複雑な工程になりますが、安全に輸送をするためには、どのルールもきちんと把握する必要があります。

輸出入.comでは、危険物の輸出についてもサポートを行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。

間違いのない梱包や書類で、安全な危険物の輸出をしましょう!

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