貿易取引の8つの種類!それぞれの特徴や取引の流れを徹底解説
海外とのビジネスにおいて貿易取引は欠かせない要素ですが、取引の種類について「どのような種類があるのか」を知っている人は少ないですよね。
実際、これから貿易取引をスタートする人の中には、どの方法を選ぶべきか、その手続きやリスク管理に悩んでいる人もたくさんいると思います。
そこで、この記事では「貿易取引の主要な8種類」を徹底解説します。
各取引の特徴を知ることで、貿易取引におけるポイントや自分のビジネスにあった効果的な取引方法をきちんと理解することができるでしょう。
これから海外ビジネスを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください!
目次
貿易取引とは
貿易取引とは、一般的に「輸出と輸入」のことを指します。
国と国との間で行われる取引であり、商品やサービスなどを売買することによって利益を生み出します。
輸出は自国内から他国への取引、輸入は他国から自国内への取引のことです。
物流やインターネットの発展から国際的な取引が身近となり、貿易取引は今後もより活発になっていくでしょう。
日本の貿易の特徴
そんな今後も発展が予想される貿易取引ですが、日本の貿易取引の特徴についてもチェックしていきましょう。
2022年時点での貿易輸出額は中国、アメリカ、ドイツ、オランダに次ぐ世界5位であり、貿易国としてかなりの大国です。
島国ということもあり原材料が乏しいとされているものの、輸入した原材料に付加価値をつける加工を得意として、ここまで成長をしてきました。
特に高度経済成長期には、電化製品や自動車、精密機器を中心に、世界で日本のモノづくりが認められ、それが基盤となり現在も多くの製品が輸出されています。
貿易取引8つの種類
貿易取引は大きく分けると「輸出」と「輸入」の2つに分かれますが、その中には様々な取引の種類があります。
具体的には
- 直接貿易
- 間接貿易
- 仲介貿易
- 並行輸入
- OEM輸入
- 委託加工貿易
- 開発輸入
- サービス貿易
という8つです。
ここから、それぞれの取引がどのようなものなのかを紹介していきます。
①直接貿易
直接貿易とは、国際輸送において輸出者(販売側)と輸入者(購入側)の間で直接的に行われる取引のことです。
直接貿易は、中間業者や仲介業者を介さずに双方の取引主体が直接関与するため、効率的な取引が可能となります。
また、間に入る会社がないことでコスト面でのメリットも大きく、利益を最大化させやすいです。
とはいえ、直接やり取りすることになり、輸出入の手続きや物流の管理など、貿易の各段階で様々なノウハウや経験が求められるでしょう。
D2C
直接貿易の中にはD2Cと呼ばれる手法もトレンドの1つです。
D2C(Direct-to-Consumer)とは、国際輸送において商品が製造業者やブランド企業から直接消費者に届けられるビジネスモデルのことをいいます。
製造業者が自社の製品を直接販売することで、消費者とのつながりを強化し、市場にアプローチする手法です。
D2Cのメリットは多岐にわたり、例えば、製造業者は自社の製品を直接販売することで、消費者のニーズや嗜好をより正確に把握し、迅速に製品改善や新商品開発に反映することができます。
また、中間業者をなくすことでマージンを削減し、製品価格をリーズナブルに設定することも可能です。
D2Cは、インターネットや電子商取引の進化によりますます注目されています。
製品のブランドイメージや付加価値を最大限に活かすため、オンラインストアやSNSなどのデジタルチャネルを活用するケースが少なくありません。
D2Cは現代のビジネスにおいて急速に発展しているトレンドであり、製造業者やブランド企業にとって市場拡大や顧客関係の構築に有益な手法です。
②間接貿易
間接貿易とは、貿易取引において商社など貿易の専門家が仲介役となり、直接の取引相手ではなく間接的に取引を行う形態です。
貿易商社は貿易に関する豊富な知識と経験を持ち、貿易取引のスペシャリストなので、経験が浅く自信がない場合やリスクを回避したい場合、間接貿易がオススメです。
専門的なサポートにより、取引が円滑に進行し、リスクを最小限に抑えながら利益を生み出すことが可能となります。
また、彼らは商習慣や貿易制度に詳しく、納期や品質の調査、物流手配などをスムーズに行い、貿易取引において頼りになるでしょう。
間接貿易は、貿易取引を安定的かつ効率的に行うために重要な手段です。
商社の専門知識とネットワークを活用することで、ビジネスの成果を最大化し、国際市場での競争力を高めることにも繋がります。
③仲介貿易(3国間貿易)
仲介貿易とは、2国間の直接取引ではなく、第3の国を仲介して取引を行う貿易形態です。
そのため、仲介貿易は3国間貿易と呼ばれることもあります。
物流輸送は直接の輸出入国間で行われますが、仲介国が取引の仲介役として機能し、物流手配を担当します。
仲介貿易のメリットは輸出国にとって、貿易交渉や販売促進、代金の回収を安心して仲介国に任せることができる点です。
また輸入国にとっては、有利な価格設定や貨物輸送コスト・税金の削減が期待できます。
そして仲介国は、輸入者からのマージンを得ることが可能です。
仲介貿易は一見複雑に思えますが、国際取引において重要な貿易形態であることがわかります。
信頼性のある仲介国が存在することで、より大きな貿易取引に発展することもあるでしょう。
国と国の関係性を考慮しながら、効率的かつ利益を最大化する方法として活用されています。
④並行輸入
並行輸入とは、正規代理店を通さずにブランド製品等を直接輸入することです。
国内の正規代理店を通さないだけなので、ブランドの品質を保ったまま輸入することができます。
並行輸入による直接販売は大きな利益を生む可能性がありますし、国内で知名度の高いブランド品であれば、ショップの販売促進にも効果があります。
しかし、並行輸入をする場合は正規代理店を通さないため、偽物の輸入に騙されないようにしなければなりません。
もしも偽物を購入してしまうと通関での問題や法的リスクが生じる可能性があるため、信頼できる仕入先かどうかはきちんと確認するようにしましょう。
並行輸入はコストを抑えて輸入ができる一方、法的なリスクもあるため、正規ルートとのバランスを考慮しながら、ビジネスチャンスを追求することが重要です。
⑤OEM輸入
OEM輸入とは、他社が生産した商品を自社ブランドとして買い取り、パッケージに独自のデザインを施して輸入し販売する取引です。
海外には、OEM商品の生産に積極的に取り組む企業が多く存在します。
自社ブランドの商品を展開するためには、品質や価格競争力を考慮しながら、適切なOEMパートナーを選ぶことが重要です。
OEM輸入の主なメリットは、
- 自社ブランドで他社との差別化を図ることができる点
- 生産コストや生産能力の面で競争力を出せる
という2点なので、よりリーズナブルで効率的な商品供給が可能となります。
OEM輸入は、低コストで自社ブランドの商品を展開する上で有用な手段ですが、適切なパートナー選定と綿密な取引管理が求められることを忘れないようにしましょう。
⑥委託加工貿易
委託加工貿易とは、原材料を輸出し、外国の工場に加工や組立作業を委託して完成品を輸入する取引のことです。
海外の工場に製造を委託することで、人件費の低い地域での生産が可能となります。
また、加工や組立作業は保税地域で行われるため、原材料の税金を抑えることが可能です。
しかし、委託加工貿易には、製品の品質管理や納期管理、知的財産権の保護など、外国企業との関係構築や法的な問題にも対処しなければなりません。
コスト削減や競争力強化のために効果的ですが、パートナーの選定や適切な管理が必要なため、トータルなリスクとリターンを考慮しながら進める必要があります。
⑦開発輸入
開発輸入とは、先進国が発展途上国で資源や製品を開発し、輸入する貿易の形態です。
この方法では、自社の開発力を活かして他国で生産し、自国内で商品やサービスを販売します。
また、衣類などの製品を委託開発し輸入するケースも少なくありません。
海外の優れた商品を、自国の需要に合わせて再設計し輸入するのが特徴です。
開発輸入は、先進国の技術やマーケティング力を活用して新たな市場を開拓し、効果的なビジネス展開を図る手段となります。
➇サービス貿易
サービス貿易とは、国境を超えて「サービス」を提供することによって行われる国際貿易の形態です。
近年、この貿易形態は急速に増加しており、物品ではなくさまざまなサービスが取引されています。例えば、旅行業、金融業、通信業、保険業など、さまざまな分野でのサービス提供が含まれます。
グローバル化の進展や技術の進歩により、地理的な制約を超えてサービスが提供されることで、国際的なビジネスチャンスが広がっています。
サービス貿易は、経済成長や雇用創出に貢献するだけでなく、異なる国々の間での専門知識や技術の交流も促進するでしょう。
貿易取引の流れ
これから、貿易取引の流れについても簡単に紹介します。
貿易取引の流れは一般的に下記のステップで進んでいきます。
- 取引先の選定・交渉
- 契約
- 信用状の確認
- 輸送手段の手配・準備
- 輸出通関手続き
- B/L(船荷証券)の入手
- 代金の回収
信用状を使った取引の流れは基本的にこの流れに沿って進むので、頭の中に入れておくようにしましょう。
貿易取引のリスク
貿易取引には、
- 金融リスク
- 物流リスク
- 法的リスク
- 品質リスク
- 政治的リスク
が存在することも事実です。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、リスク管理の戦略や契約条件の明確化、信頼できる取引相手の選定などが重要となります。
また、情報収集や市場のトレンド分析を行い、リスクを予測・評価することも必要です。
言語や商習慣、法律の違いを把握することは、リスク回避にそのまま繋がるので、認識に違いが出ないようにすり合わせはきちんと行いましょう。
様々な貿易取引の種類から自社に合った方法を見つけよう
貿易取引には様々な種類があり、それぞれの取引にメリットや特徴があります。
そして、物流やインターネットの発達から貿易取引も変化しており、より使いやすく便利になっていくはずです。
様々な貿易取引の種類から自社に合った方法を見つけ、海外ビジネスの発展に繋げていきましょう。
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