OEMとODMの違いは何?メリット・デメリットや輸入時の注意点を解説

近年「OEM」や「ODM」という言葉を耳にしたことがある人は増えているのではないでしょうか。
今やOEM、ODMは製造業をはじめとする様々な業界にとって欠かせない重要な存在となっています。

とはいえ、OEMやODMについて、それぞれの違いやメリット・デメリットをきちんと理解している人はまだ少ないように感じます。

そこで今回は、OEMとODMの違いをテーマに

  • OEMとODMの3つの違い
  • OEMのメリット・デメリット
  • OEMとODMはどちらを選ぶべきか
  • OEM・ODM製品の輸入時の注意点

を徹底解説していきます。

OEMやODMについて気になるという人は、ぜひこの記事を最後までチェックしてみてください!

OEMとは

それではまず「OEM」とは一体何かを確認していきましょう。

OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略で、「自社ブランド品の製造業者」を意味します。
自社が製品のブランドやデザインを持ちつつ、実際の製造は他社に委託するビジネスモデルのことです。

具体的には、ある企業が製品のアイデアやコンセプト・設計を担当し、それを専門的な生産能力を持つ工場やメーカーに委託して製品を製造させる方法です。

完成した製品は、最終的に自社(委託者)のブランド名で市場に送り出されます。

ODMとは

続いて「ODM」とは何かを解説していきます。

ODMとは「Original Design Manufacturer」の略で、「設計から製造までを行うメーカー」といった意味です。
他社からの受託を受けて、商品のアイデアや設計から実際の製造までを一貫して行うビジネスモデルを表します。

具体的には、ある企業が商品の製造を外部の専門的なメーカーや工場に委託し、その際に必要な設計も含めて全体を任せる方法です。

製造における一連の活動は、依頼者が行いますが、完成した製品は、最終的に委託者のブランド名で市場に送り出されます。

OEMとODMの3つの違い

OEMとODMは言葉も似ており、使われるシーンも似たようなケースが多いため、よく混同されがちです。

しかし、それぞれの違いをきちんと理解することは、ビジネス上では欠かせません。

そこでここから「OEMとODMの違い」を3つ解説します。

①開発段階における違い

1つ目の違いは「開発段階における違い」です。

OEMとODM、両者は製品開発において異なる段階から関わり、それぞれの役割を果たします。

OEMは、既存の商品を提供することが主な役割です。
すでにある製品を自社のブランドで販売するため、自社のデザインや要件を取り入れることが一般的です。

一方、ODMは新製品の設計・開発から行います。
そのため顧客のニーズに合わせて独自の製品を設計・提供し、そのブランドで供給することが目的です。

②オリジナリティの違い

2つ目の違いは「オリジナリティの違い」です。

OEMとODMの選択は「オリジナリティがどれほど必要なのか」そのバランスを意識しなければなりません。
OEMは既存の製品を利用するため、独自性に限りが生まれてしまいます。

一方、ODMは独自の製品を開発するため、ブランドや市場への浸透に時間がかかる可能性がありますが、オリジナリティが高まります。

つまり、他のブランドやメーカーと被ることなく製品の開発が可能です。

③製造プロセスと効率の違い

3つ目の違いは「製造プロセスと効率の違い」です。

OEMとODMを比較すると、OEMは既存の生産ラインを利用するため、効率的に生産することが可能です。

一方、ODMは新製品の設計から始まるため、開発段階での時間とリソースがOEMよりも多くなります。
とはいえ、一度開発が完了すればその後の効率的な生産が可能となります。

製造プロセスにおける効率性を考慮しながら、最適な選択をすることが重要です。

OEMのメリット・デメリット

それでは、ここから「OEMのメリット・デメリット」を解説していきます。

OEMのメリット

OEMのメリットは、主に次の3つが挙げられます。

  1. ブランドの拡大
  2. 設備・技術がなくとも生産可能
  3. コストの削減

それぞれを詳しく解説していきます。

①ブランドの拡大

OEMをすることで、自社ブランドを持っていない企業でも、OEM製品を通じて市場に参入し、知名度を一気に高めることが可能です。

既存の成功した製品を提供でき、市場に迅速に参入できますし、既に実績のある製品となるので、市場での信頼性も高まります。
また、特定のブランドが成功しなくても、他のOEM製品でカバーできるため、事業全体の安定性を確保しやすい傾向にあるでしょう。

②設備・技術がなくとも生産可能

続いてのメリットは「設備・技術がなくとも生産可能」という点です。

OEMメーカーの設備と技術を活用することで、設備や技術がない状態でも、生産、品質管理までを一貫して提供できます。

OEMメーカーは製造における専門知識と経験を持っているため、これに頼ることで、自社での製造が初心者の場合でも、高品質な製品を提供できます。

③コストの削減

3つ目のメリットは「コストの削減」です。

コスト削減は企業にとって重要な要素であり、OEMを利用することでさまざまなコスト削減のメリットが得られます。

自社で設備や従業員を維持する必要がなく、OEMメーカーのスケールメリットを活かすことで生産コストの低減が可能です。
設備や人件費などの固定コストが発生しないため、市場変動に対するリスクヘッジができます。

OEMのデメリット

続いてOEMのデメリットは以下の2つが挙げられます。

  1. 品質管理の難しさ
  2. 情報漏洩のリスク

それぞれを詳しく解説していきます。

①品質管理の難しさ

OEM製品は自社ブランドの下で販売されるため、品質の一貫性が非常に重要です。

しかし、製造プロセスが第三者に依存しているため、品質コントロールが難しくなります。
品質のブランドイメージへの影響を最小限に抑えるために、継続的な監視が必要不可欠です。

特に異なる国や文化の企業と取引する場合、コミュニケーションの障壁やタイムゾーンの違いが品質管理の課題になり得ます。

製品設計に変更が必要な場合にも、変更のコミュニケーションと調整が難しいこともあるので、注意が必要です。

②情報漏洩のリスク

OEM製造では、企業は製品の設計や製造に関する詳細な情報をOEMメーカーと共有する必要があります。
そのため、競合他社や不正な第三者による情報へのアクセスが懸念されます。

情報漏洩のリスクは第三者が関わることで自然と高まるでしょう。

ODMのメリット・デメリット

ここからは「ODMのメリット・デメリット」をそれぞれ解説していきます。

ODMのメリット

ODMのメリットは、主に次の3つが挙げられます。

  1. 専門的な設計と製造
  2. コスト効率の向上
  3. 設計から製造までのスピード

それぞれを詳しく解説していきます。

①専門的な設計と製造

ODMの最大のメリットの1つは「専門的な設計と製造能力」を提供できる点です。

ODMメーカーは特定の業界や製品カテゴリでの豊富な知識と経験を持っています。
この専門知識は、製品設計の段階から製造までのすべての段階で活用されます。

顧客企業は自社の専門分野に関する知識を持たずとも、ODMメーカーの専門家の力を借りることが可能です。

ODMメーカーは専門的な設計リソースを持ち、製品の品質やパフォーマンスに焦点を当てます。
そのため、ODM製品は高品質で信頼性のある製品の製造が可能となります。

②コスト効率の向上

続いてのメリットは「コスト効率の向上」です。

ODMメーカーは大量生産に特化しており、大量の製品を生産することで原材料の調達コストを削減できます。
効率的な生産ラインを運用することで、生産効率が向上し、コスト削減が可能です。

また、製品の設計や生産におけるリスクはODMメーカーが負担するため、顧客企業はリスクを分散できます。
自社で新製品を開発・生産するよりも、リスクを低減できます。

③設計から製造までのスピード

最後のメリットは「設計から製造までのスピード」です。

ODMメーカーは既存の設計テンプレートやプロセスを活用して製品を開発します。
このため、設計と製造が同時に進行し、市場投入までの時間が短縮されるでしょう。

スピード感を持って対応ができるので、たとえ市場が急変した場合でも、需要の変化に迅速に対応することができます。

ODMのデメリット

続いてODMのデメリットは以下の2つが挙げられます。

  1. コストと品質のバランス
  2. 競合他社との差別化

それぞれを詳しく解説していきます。

①コストと品質のバランス

ODMビジネスモデルは、独自の設計と製造を提供するため、品質や特徴を重視する一方で、そのプロセスにはOEMよりもコストがかかることがあります。

ODM企業は独自の設計を提供することが期待されるため、設計段階にリソースを投入しなければなりません。
このため、設計に関連するコストが増加する可能性があり、それが製品の価格に反映されます。

また、企業によっては製造の一部はサードパーティーに委託することがあります。

このため、品質の一貫性を確保し、製品の品質を維持するために注意が必要です。

②競合他社との差別化

同じODM企業から提供される製品は、設計や仕様が似てしまうケースが少なくありません。

したがって、それらの製品を異なるブランドが販売しても、ブランド間での差別化が難しいことも。

類似した製品が市場に多数存在する場合、独自性を確立するのは難しいことがあります。

同様の製品があると価格競争に巻き込まれてしまうので、収益性に影響を与えることもあります。

OEMとODMはどちらを選ぶべきか

OEMとODM、それぞれにメリット・デメリットがあることが理解できたと思います。
それでは、OEMとODMはどちらを選ぶことが望ましいのでしょうか。

ポイントとしては、企業のニーズや戦略に合わせて行うことをオススメします。

まず、企業の独自性と市場参入スピードを考えます。
製品開発能力を持つ場合はODMが適しており、既存の商品を提供したい場合はOEMが選択肢となるでしょう。

そして次に、ブランド構築やコスト効率を考慮します。
自社ブランドを強化したいならODM、効率的な生産・供給を重視するならOEMが有利だといえるでしょう。

スピード感とコストのバランスを取りながら、ビジネスの戦略を練り、選択することが求められます。

OEM・ODM製品の輸入時の3つの注意点

OEM・ODM製品を輸入する際には、いくつかの注意すべき点があります。

ここから代表的な3つのポイントを解説するので、一緒にチェックしていきましょう。

【注意点①】製品仕様と品質の確認

製品を輸入する際には、必ず製品仕様と品質に関する詳細な情報を確認するようにしましょう。

取引を開始する前に、実際の製品サンプルを入手して、仕様と品質を確認します。
そして、製品の品質管理要件を定義し、製造業者に伝えましょう。

品質検査、テスト、検証などを含む品質管理プロセスをきちんと確立し、製品が規格に適合していることを確認するようにしてください。

【注意点②】信頼性のあるサプライヤーの選択

製品を供給するために信頼性のあるOEM・ODMサプライヤーを選ぶことは不可欠です。

過去の実績や顧客の評判を調査し、信頼性のあるサプライヤーを選定します。
サプライヤーの生産設備と品質管理の方法などを、細かくチェックしていきます。

確認をしていく際には、サプライヤーとのコミュニケーションが円滑であるかどうかも、相手が信頼できるか重要なポイントです。

今はインターネットで口コミやレビューなどもチェックできるので、そのようなチェックも忘れないようにしてください。

【注意点③】法的・税務的な課題への対応

製品を輸入する際には、法的および税務的な課題にも対処する必要があります。

そのため、製品が輸入国の法規制と規制要件に準拠しているかどうかの確認は忘れないようにしましょう。

  • 輸入関税と税金
  • 知的財産権
  • 法的規制とコンプライアンス

の3点は、企業としてよく問われる部分なので、場合によっては専門家に相談することも検討するようにしましょう。

OEMとODMは様々な業界にとって大きなメリットがある

OEMとODMは似たような言葉なので、どちらがどちらを意味するのか、こんがらがってしまう人もいると思います。

そこで、最後にもう一度まとめると

  • OEMとは、「自社ブランド品の製造業者」
  • ODMとは、「設計から製造までを行うメーカー」

つまり「設計段階から製造に関わるかどうかの違い」ということを頭に入れていただければと思います。

どちらのプロセスもメリットが多く、今や製品の製造には欠かせない存在となっています。

輸出入代行.comでも、海外OEM・海外ODMのご相談を承っておりますので、OEMやODMで製品を製造したいと考えている方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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